HP4062UXについて
ここではHP4062UXについて解説します。
HP4062UXは半導体パラメトリック・テストシステムです。
これは3つの基本システムによって構成されています。
基本的にはSMS(スイッチングマトリックス)、DCS(DC測定サブシステム)、
CMS(容量測定サブシステム)です。
これらのモジュール詳細は次項に記すとして、
構成としてはワークステーションからGPIBインターフェースを介し、
スイッチングマトリックスへ、
スイッチングマトリックスから各測定装置への制御を行う
経路をたどります。
SMS(スイッチングマトリックス)
スイッチングマトリックスはSWCとしてhp4084B、SWMとしてhp4085B(またはhp4089A)を
用いて構成されます。SWMとして48ピンSWMが使用されている場合はSMSはhp4085Bで
構成され、96ピンSWMが使用されている場合は hp4089Aが選ばれます。
スイッチングマトリックスの役割はポートと測定ピンの接続です。
ここでいうポートとはSWMと測定器の接続部分をさします。
ポートと測定ピンの配線はマトリックスになっており、リレーによってオン・オフされ
ます。これによりポートと測定ピンの任意な接続が可能になります。
測定ピンの先にはテスト・フィクスチャーやパーソナリティ・カード、プローブカードを
介して被測定物が接続されます。
ポートと測定ピンの接続はピン・ボード上で行われます。
ピンボードは切替スイッチにあたるもので、48ピンSWMには48枚のピンボードが、
96ピンSWMには96枚のピンボードが備え付けられています。
システム診断時にリレー不良が発見されるとピンボード番号が表示されます。
この場合はピンボードが納められているスロット番号を指します。
DCS(DC測定サブシステム)
DCSはHP4142BモジュラDCソース・モニタが使用されています。DCSはさらに
SMU(ソース/モニタ・ユニット)、VS(ボルテージソース)、VM(ボルテージモニタ)、
AFU(アナログフィードバック・ユニット)、GNDU(グランドユニット)に細別されます。
SMUは電源電圧動作、または電流源動作し、モニタすることができるユニットです。
VMは±40Vまでの対グラウンド間の電圧モニタとして、VSは±40Vまでの電圧源動作をします。
AFUはトランジスタの電流増幅率やFETのしきい値電圧を測定するために使用します。
GNDUは出力を0Vに保ちながら、±1.6Aの電流を流すことができるユニットです。測定の
共通グラウンドとして使用します。
CMS(容量測定サブシステム)
CMUは測定信号源、電流計、内部バイアス源の3つの部分からなり、
接続モードによって測定端子への接続が異なります。
CMUの測定端子はHIGH端子、LOW端子、ガード端子からなり、
SWMのポートして使用するときはそれぞれCMHポート、CMLポート、
GCMUポートと呼びます。
通常測定周波数は1MHzで、信号レベルは30mVです。
測定レンジには3つのレンジがあり、1nF/10mS、100pF/1mS、10pF/100uS
です。
HP4062Cについて
HP4062シリーズとしてHP4062Cというものがあります。
この設備はここまで述べたHP4062UXよりも一世代古い設備で、
基本的には互換性があります。
エンジニア側からすればCSUBのハードウェアが多少異なるだけで、
プログラム等の違いはほとんどないといってもいいです。
ピンボードや故障時の対応もほぼ同じで使われているハードウェアも
同じもので流用が効きます。
でもあまり世間的に認知されていない設備なので、一部の古い工場ぐらい
しか残されていません。
当然企業サポートも切れています。
以上、マメ知識ということで銘記します。